達成したいと思った時点で学ぶことから離れている

ヨガはがんばってはいけない

60分の体験レッスンに参加し、呼吸ひとつをものすごく丁寧にやることに衝撃的を受けた私。

その後ポーズが深まっていくごとに

一つ一つのポーズがとても難しいと感じましたし、
体が痛かったりしたのですが

周りの参加者さんたちが、難なくポーズをこなしているように見えたので

負けず嫌いな私は、必死についていこうと頑張ってしまいました。

体の柔軟性がない部分を無理して伸ばしたり、苦痛に顔をゆがめながらポーズをとっていました。

今思えばこの時点で、アーサナの基本である「快適で安定している状態」ではなくなっていました。

『ヨーガ・スートラ』の中で、パタンジャリは次のように言っています。

アーサナは“快適で安定したポーズ”です。ポーズをとることに焦点をあわせるのではなく、体と呼吸に意識を向けてください。アーサナは単に体を使った運動を意味するのではなく、あなたの内側に入る手段です。

アーサナとは、安定していて、快適であるべき。

「アーサナ」は、心を静め、瞑想に適した姿勢であり、ムリや不快を伴わないことが理想とされます。

留学先のインドでも以下のように教わりました。

1.身体・身体の中、そして呼吸の動きに集中すること

2.アーサナを行う際は、身体の中の伸びや使っている筋肉に集中し、普通に呼吸する

3.必要以上に無理をせず、誰とも比べないこと。挑戦はしても、無理はしない。快適なレベルを少し超えるくらいで行う

ポーズの練習中、現地の先生に、「スマイル、スマイル」とよく言われたものです。

さぞかし私の顔が引きつっていたのでしょう。

誰かと優劣を比較してがんばろうとしたり、ポーズの出来を競っている時点で、ヨガではないのですね。

「私を満足させてちょうだい」という欲求が根底にあった

今なら、「ヨガは本来、頑張って行うものではない」ということが理解できます。

ヨガの本質である、
「人と比べず、過去の自分とも比べず、未来の自分に期待せず、今に集中する」

という基本理念が理解できておらず、

今思うと「やりがいを感じるため」や「なにかを得るため」に参加していたように思います。

動機が「さぁ、私を楽しませてちょうだい!満足させてちょうだい!効果を感じさせてちょうだい!」

ちょうだい、ちょうだい、ちょうだい!
と受け身で要求する姿勢なわけですから

結果、満足できませんでした。当然ですよね。

私たちはつい達成することを目標にしてしまう

「できないポーズがあることは格好悪い」
「ポーズは美しくとるべきだ」
「他の人はできているのに。なんで私はできないんだろう」

思えばレッスンの間中、このような思考に支配されていたように思います。


そして、
「ポーズができなくて悔しい」

という思考。
なぜこのような思考が出てくるのかというと

「自分はできて当たり前」
「ヨガくらい、自分にもできるだろう」

このような驕りや期待があったのだと思います。


今までやったこともないくせに、「できるだろう」が大前提。

すごい地震ですね。笑

そして、
「できる」か、「できないか」のTHE・二元論。

この二元論自体がヨガではありません。

つい達成することを目的にしてしまう

ついつい私たち現代人は「達成すること」を目標にしてしまいます。

ヨガって、一見すると地味ですし
動きもゆっくりなので、

よほど難解そうなポーズでなければ、運動神経に自信のない人でも
簡単にできそうに思えたりするんですよね。

しかし、
身体の緊張があったり、
骨や筋肉が本来のあるべき位置からズレていたりすると

思っている以上にポーズがとれないのです。

実際にヨガの指導をしていると、初心者のかたからよく

「思った以上に、ヨガって難しいんですね!」

と言われることが多いです。(特に男性からこのような感想を言われます)

そして先生や周りの参加者が楽々できているようにみえるとつい比較してしまったりするものです。

「できるだろう」と期待しているので
できないことに落胆するのです。

達成しようと思った時点で学ぶことから離れている

『禅マインド ビギナーズ・マインド』には次のようなことが書かれています。

なにかを達成したいとか、達成したというような心がないとき、つまり、自分中心の思考がないとき、私たちは、本当の初心者なのです。このとき、私たちは、初めてなにかを学ぶことができます。

禅マインド ビギナーズ・マインド 鈴木俊隆 (著), 松永太郎 (翻訳)

私はこの文節を、「達成しようと思った時点で、すでに学ぶということから離れている」というふうに理解しました。

ヨガのアーサナは、無理したり、限界以上にがんばってしまうと
身体を痛めてしまう場合もあり
そういう経験があると、
「ヨガでかえって身体が痛くなった」
「健康になりたくて行ったのに傷めてしまった」

というよくない印象だけが残ってしまったりするので

ヨガを指導する上では

無理をしない、人と比べない、自分に集中するという基本スタンスや心のあり方を

最低限アナウンスすることは必要だな、と感じています。